ビスチェをつくりました。まだ試作段階です。
ブラキャミのようなものです。
ベースは、以前立体裁断でつくった4面体キャミソールをもとにしています。
カップ部分に仕込んだキルト綿のパターンは、今回あらたに作成しました。
(カップの切り替えは、表地の切替位置とはずらしてあります)
このビスチェ、ボーンは入っていないのでコルセット的な使い方はできません。
しかも生地のとり方(裁断のしかた)に、変形する余裕をもたせています。
といいますと、脇見頃をバイアスづかいにしていて、少し「のびる」ようにしているのです。
のびない生地(布帛)でも伸びやすい生地の方向というものがありまして、それを最大限にいかしているというわけなのです。
布帛ながらとても動きやすい。それがこのビスチェなのです。
さて、チェルシエ倉庫も、そろそろ準備期間と定めた期限に近づいてきてました。定番的作品ラインをドバッと発表すべく、いろいろ作ってます。
これのビスチェもその一つ。
これは、れっきとしたうちの下着の商品ライン候補です。
ところで、このような4面体の服はかなり体のラインにそった曲線的なシルエットになるのですが、こうしたシルエットは、昨今よく見られるゆったりデザイン服とはだいぶ異なります。
流行と違う。むしろ逆行している。
そしてもう少しはっきり言ってしまえば、「浮いてる」ともいえるでしょう。
それは当然なことかもしれません。
ゆったりシルエットの服が流行るのは、サイズ展開を簡素にしたいメーカー側の都合も一因としてあります。ゆったり作っておけばそれだけワンサイズで多くの人に合うわけですから、いろいろと楽なわけです。
対照的に、身体のラインにそった服は着る人のサイズが限定されますから、量産する上では不都合なことが増えます。今回私がつくったこのビスチェも、おおむね9号サイズの人にしか着られないと思います。
9号サイズの人、というのは、ここでは9ARというJIS規格にもとづいていまして、規格ですので数字がハッキリでます。
つまり、身長158㎝バスト83㎝ウエスト63㎝ヒップ91㎝の体型の人のことです。
(実際にはこれより多少サイズが大きかろうが小さかろうが、まずまず着られるゆとりはあるのですが、着心地は変わるでしょう。)
というわけで、このような量産に向かないデザインであれば、もともと量産などする気の毛頭ない私のような人間が手掛けるのが一番、であります。
それに、私は4面体が好きなのです。作っててとってもワクワクするし、着たときにシルエットがとってもきれいなのも気に入っています。
着ると無駄に生地がだぶつかなくて、下着としてとっても優秀。
身体にあったサイズとシルエットの服を着ていることの幸福感を存分に味わえます。
こういう服が好きな人、私以外にも多いはず。と思う。思いたい。
でもあまり売っていない(量産にむかないから市販されづらい)し、売っていたとしてもウエディングドレスのような特殊な業界のものだったりすることが多いよう。
それならば、やはり、私が手掛けていくのが一番、なのであります。
繰り返しますが。
クラシカルな見た目の服を作ってると、「コスプレ?」などと言われることも多いのですが、「いえ日常着です」、としか私からは言えません。
モノの形は理由や意図があってその形になるので、単に外見のイメージで用途が決まるわけじゃないのです。
ということが示せる作品作りをしていきたいものです。
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