About
チェルシエ倉庫の人
チェルシエ倉庫の運営者・デザイナー・職人とその哲学について
チェルシエ倉庫の運営者の顔
運営者はひとりですが、以下のいろんな顔をもっています。
1 服・下着をつくる(デザイナー・パタンナー・縫製職人)
体をしめつけにくい服や下着の設計・縫製仕様を研究しています。パターンは全てオリジナル。
服飾品以外にも、コーヒーフィルターなどの布製生活雑貨も作っています。
また、昔の優れた衣服のパターン/デザイン/技術をとりいれた服作りにも取り組んでいます(「いにしへの服研究」)。
2 着物や古着のリメイクもしています(デザイナー・アーティスト)
古着物や新古の反物、古着を素として服飾作品をつくっています。
すべて一点物の「使えるアート作品」に仕上げます。
3 作品を販売・レンタルしています(商売人)
作品は、使ってもらってなんぼのものです。
作るだけでなく、より広く使ってもらえるようにお店を構えています(現在オンラインショップのみ)。
また、アート色の強い服や着物リメイク作品、ビンテージ古着等のレンタルもしています。
4 衣服の設計・扱いや装いについて研究しています(研究者)
下着を含む衣服の作り方・選び方・着こなし等は、個人の日々の生活の一部であるとともに、学術研究の世界でも扱われる分野です。
また、服や身体をめぐってはいろいろな規範や言説がとびかうことも多々あります。
こうした分野における実践や研究、多くの情報をどのように捉え、わたしたち自身の生活や意識につなげていくべきかを考え、共有します。
(当サイトでは主にBlogにて執筆中。Instagramもやってます)
また、「いにしへの服」研究と題して、西洋のアンティーク洋服や日本の洋装化初期の服づくりの資料・現物をあたり、
現代の非量産的服作りに生かすべきデザインやパターン、縫製技術を学んでいます。
ただし、アンティークデザインのレプリカ作成ではありません。
先人の仕事に最大の敬意をはらいつつ、現代の生活様式に適する形にしてよみがえらせる試みです。
5 その他(写真撮影・サイトデザイン・作画・日英翻訳)
作品写真は全て自分で撮影しています。また、ロゴや商品説明のイラストも自分でデザインしています。
このウェブサイトのデザイン・編集、英訳もやっています。
(たまに勝手にサイトシステムの自動翻訳がかかって変なことになっています。気づいたら直すようにしていますが、ご迷惑をおかけします)
ものづくりの哲学
基本的には自分が欲しいもの・使いたいものを作っています。
素材やパターン設計へのこだわりは、ものづくりにとどまらない思考的探究から生まれます。
1 素材:長く心地よく使えるものを
リネン、ヘンプ、絹、綿およびそれらの混紡の布帛(織地)などの天然素材をメインに使って作っています。
これらの素材の利点は:
☞天然素材は肌触りがナチュラルで心地よい
☞通気性がよく、発汗など皮膚の生理機能を妨げにくい
☞繊維そのものが強く、物理的に長持ち(特にリネンやヘンプ)
※リネン製品は使い続けるほどに生地の肌なじみが良くなるのも大きな魅力です。
天然の抗菌作用と速乾性もあって衛生的なため、洗い替えの多い下着にはうってつけ。生地が擦り切れるまで何年でも使えます。
逆に、扱わない素材はゴムやニットなどの伸縮素材。
ゴム紐は局所的に締める力がかかるため、特に下着に使った場合は身体に食い込みやすく、知らず知らずのうちに血行を妨げます。
またゴムは伸びて劣化しやすく、必要なサポート力を維持できなくなることもあります。
薄いニット製品も伸びたり薄くなったりしやすく、布帛(織地)と比べ短命です。
また、伸縮素材に化学繊維が含まれる場合、洗濯の度にマイクロプラスチックを放出する恐れがあります。
下着にはワイヤーやカンなどの金属部品も使いません。
なぜかというと、金属に接する生地が傷みやすいのと、アレルギーや締め付けなど体に悪影響を及ぼしかねないからです。
一般的に市販されている下着(特にブラジャー)には伸縮素材やワイヤーが当たり前ですが、その常識を打ち破ります。
2 設計:耐久性と手入れのしやすさを
日常的に使うものは、扱いやすく長持ちしてほしいものです。
長く使い続けられるよう、素材を選び、縫製仕様を研究・工夫し、しっかり縫い上げています。
下着は全て水で丸洗いできます。
洗濯による型崩れを最小限に抑えるため、生地は裁断前に水通し処理をしています。
着物リメイク品の場合、生地の特性とデザインのかねあいを見極めてリメイク・製作しています。
着物地はもともと洋服ほど高い頻度での洗濯を想定していないので、特に注意しながら長く風合いが保たれるよう仕立てます。
パターンも着物リメイクに特化したものを用意しています。
それでも長く使ううちに穴あいたり不具合が出た場合は、お直し・繕いサービスもやっていますのでお問い合わせ下さい。
3 意匠:見た目も「すてき」なものを
服の形には意味があります。機能的なものと意匠デザイン的なものと。
どんなに着やすくても(=機能的に最適でも)着ていて気分が下がるような服はデザイン的に不完全だと思いますので、
見た目の上でも「すてき!」と思える・思ってもらえるようなものづくりをしていきたいです。
経歴について
建築(大学での専攻)と服飾パターンメーキング&縫製の専門教育を受けています。
建築と服は違うではないか!というお声もたまに聞きますが、そんなことはありません。
立体と平面の両方から設計する手法と、機能&意匠&力学の全てをを満足させる造形を追究する姿勢は、建築も服も一緒。
そして、建築も服も私たちの身体を包む環境を作り出すもの。
服の方がより人の身体に近い部分に接しているというだけのことです。
人を快適かつステキに包む環境(布部門)を追究するのが私の役割、といえるかもしれません。
なぜ下着なの?というご質問にお答えしますと、
一般的に市販されている下着は化学繊維のものが多く、「締めすぎる」か「緩すぎる」のいずれかに偏っていて嫌だったので、
素材も着け心地もよい下着を自分で開発することにした次第です。
欲しいな、とふと思いついたものを形にできて、しかも同じものを必要としている人にも届けられるところが
この仕事の良いところだと思っています。
建築や服のパターンを学ぶ前は英語教育関係の仕事をしていました。
さらにその前は外国語学部にて日本語専攻、留学先のシンガポールでは社会学専攻でした。
もともと海外や外国語への関心が強く、行動派。海外一人旅を愛するバックパッカーでもあります。
製作にも、旅先で買い付けたり海外から取り寄せた生地や資材を使っったものがあります。
語学・人文社会科学・建築・造形・教育・服飾と、経験してきた様々な学歴や職歴を複合的に生かし、
私ならではのものづくりと発信をしていきたいと思っています。
ちなみに
屋号の由来チェルシー(Chelsea)は英語名です。日本語名は江口トキコ。
十数年前「Tokikoって発音が海外で覚えられづらくて困ってる」とぼやいたら友人が英語名をくれました。
また屋号のもう一部「倉庫」は、かつて修業時代の私の活動拠点が居住不適合物件(=倉庫物件)だったことに由来します。
ビルの屋上のトイレ付物置みたいな物件でした(それでも台所&エアコン完備)。
台風の度にヒヤヒヤしながらミシンを踏んでいたあの頃を忘れず、これからも邁進していきます。
